水やりのコツ

前回、植物の生長における水の役割や水やりのこつについてご紹介しました。
今回は栽培方法による違いや生育時期に応じた水やりについて考えてみましょう。

栽培方法のいろいろ

露地栽培、トンネル栽培、マルチ栽培、プランター栽培など栽培方法が変われば水管理も変ってきます。例えば、露地栽培では気象の影響を受け易く、自然環境に応じて水やりを行う必要があります。トンネル栽培では露地栽培に対して気象の影響を受け難いですが、高温多湿になりやすいので、水管理を間違えると病気の発生を促す可能性もあります。プランター栽培では日当たりの良・不良、軒下に置いてあるか露天にあるか、また風通しなどによって土の乾きやすさが変わってきます。マルチを張った場合では通常の露地栽培と比較して土壌水分を保つことが出来ます。
  • 露地栽培
    露地栽培
  • プランター栽培
    プランター栽培
  • マルチ栽培
    マルチ栽培

気候・季節条件の違いを見てみよう

地域によって気候条件が異なり降雨の多少や気温の違いがでてきます。水の乾き方が違ってくるので水やりの頻度も変わってきます。
また、季節によっても水やりのポイントが異なってきます。
夏場は暑い日の日中に水をやり過ぎないことです。直ぐに土が乾いてしまう場合はこまめに水をやる必要があります。暑い日の日中に湿った状態が続いてしまうと土の中の水が高温になり、蒸し上がり根腐れを起こし易くなります。
冬場のポイントは夕方の水やりに注意することです。夜間に大変冷え込む場合、夕方に水をやると土の中で水が凍ってしまう可能性があります。天気予報で気温などの変化を考慮することも重要です。
水分がたっぷりある農園水分がたっぷりある農園
水分がたっぷりある農園
土が乾いた状態の農園土が乾いた状態の農園
土が乾いた状態の農園

生育時期を見てみよう

作る作物の種類にもよりますが、生育時期によって適切な水管理が必要です。 一般的に播種直後は水をたっぷりあげることが望ましく、種子と土がなじむようにすると良いでしょう。その後は、土の表面が乾き始めたら水をやりましょう。水をやり過ぎると種子が酸欠状態になり発芽しにくくなることがあります。
生育時期を見てみよう
土をならして種を蒔きます
シャワーノズルのあるジョウロを用意して水をやりました。
ジョウロには必ずセットでシャワーノズルが付いています。
種蒔き直後は必ずシャワーノズルを使ってやりましょう。

水やりのコツ

その後、芽が出てすぐや定植直後の水のやり過ぎには注意が必要です。
植物の根は、土が乾いている状態にあると、水分のある方向に伸びようとする性質があります。でもその時期に土が湿り過ぎている状態だと、根は広く張らず生長を弱め、根の張りが浅くなることがあります。そうすると、養分が足りなくて倒れてしまう可能性があります。
また、苗が小さい時に土の中の水分が多いと、伸びすぎたり、茂り過ぎる傾向になるものもあるため、水のやり過ぎに注意しましょう。
注) 根の張りが元々浅い作物は土の表面が乾燥しやすいため、水をやる頻度は多くなることがあります。
また、水やり時の水の勢いが強いと種子が流される可能性もありますので優しく水をかけてあげることが大事です。
芽が出てすぐの苗芽が出てすぐの苗
芽が出てすぐの苗
苗を購入する場合は草丈の短い、株張りのよさそうなものを選ぼう苗を購入する場合は草丈の短い、
株張りのよさそうなものを選ぼう
苗を購入する場合は草丈の短い、株張りのよさそうなものを選ぼう

花が咲いたり果実が大きくなる時期

花が咲いたり果実が大きくなる時期は光合成をたくさん行い、養分もそれだけ必要となるため、土を乾燥させないように注意するのが一般的です。
咲いている花に直接水をかけてしまうのは禁物です。花粉が水で流されてしまったり、花が傷んだで弱ってしまうと開花期間が短くなり、その結果受粉・受精の期間も短くなることで実が付き難くなる可能性があるので注意が必要です。
(注)トマトは過湿に弱く果実肥大期の過湿で裂果を引き起こす可能性があります。
花や果実に水をかけないように
花や果実に水をかけないように
水をかけると果実が
壊れたりすることがあるので注意
水をかけると果実が壊れたりすることがあるので注意