AGRI NEWS [MAFF アプリ連携-農林水産省]
2021年12月27日
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農業DXの事例紹介⑧農業者と青果流通事業者間のやり取りのデジタル化による流通現場業務の効率化と見える化
写真上:株式会社kikitoriの上村聖季社長と横浜丸中青果株式会社の岡山俊明部長)
(写真下:株式会社kikitoriが提供するnimaruJAの概要)
農林水産省では、農業や食関連産業のデジタルトランスフォーメーション(DX)の具体的なイメージを持っていただけるよう、農業や食関連業界におけるDXの実践事例をご紹介しています。
第9回目の今回は、青果流通の現場で日々行われている集荷情報のやり取りや農業者の資材発注などの業務を、現行の紙やファックスなどからスマホやPCを用いて効率化を進めている「nimaru」と、JAの現場業務のDXを推進する「nimaruJA」をご紹介いたします。
nimaruを提供している株式会社kikitoriの上村聖季社長と、nimaruJAを利用しているJA湘南平塚営農経済センターの加藤達也係長、およびnimaruを利用している横浜丸中青果株式会社の岡山俊明部長にお話を伺いました。
――本日はよろしくお願いします。はじめに、nimaruは流通現場のどのような課題の解決に取り組まれているのか教えてください。
(kikitori 上村さん)
青果物は、気候などの影響により生産量が日々変わります。そういった状況の中で、毎日の出荷量を早く正確に把握し、有利販売につなげていくことが大切になってきます。しかしながら、現在の現場ではこうした出荷量のやりとりは紙やファックスで行われ、その情報を受け取った流通担当者がシステムに入力していくという流れで業務を行っており、結果として担当者の情報の入力間違い、出荷情報の伝達が遅いなどが課題となっております。nimaruでは、こうした課題に対し、農業者の方でも紙を使わずに簡単にスマホから出荷量を入力し、流通事業者の基幹システムに人の手を介すことなく出荷情報を登録することで、情報の正確さと速度の問題を解決できるシステムを提供しております。
また、JAが利用するnimaruJAとのデータ連携により、個人の生産情報だけでなく、JAからの出荷情報もFAXや電話などを使うことなく、タイムリーに卸売会社などの流通事業者へ連絡することが可能です。
――具体的には、どのような仕組みになっているのでしょうか。
(kikitori 上村さん)
農業者は、LINEを窓口に利用が可能なnimaruアプリを使って日々の出荷情報や一週間の出荷スケジュールを出荷先の事業者へ送ります。LINEを使っているので、操作も簡単でどなたでも簡単に送信できるようになっています。出荷予定のやり取りでは天候などの影響で出荷予定が変わった場合もLINEから簡単に修正情報を送ることができます。こうした情報はクラウド上のnimaruを介してタイムリーに流通事業者の基幹システムに登録されます。
流通事業者は、登録された出荷情報を集計し、販売情報として活用していきます。これまでの紙やFAXによる業務よりも正確な情報を早く把握できますので、有利販売に活用していくことができます。
さらに、実際の入荷などで使用する送り状や、販売原票なども、nimaruから任意のフォーマットで印刷することができるので、農業者および流通事業者での手書き作成が必要なくなります。
――情報の効率的な活用に加え、手書き伝票の廃止や業務の効率化によるコスト削減の効果も大きそうですね。nimaruが広く活用されていくためには一人でも多くの農業者の方に利用してもらう必要がありそうですが、農業者からみてnimaruを使うメリットにはどのようなものがありそうでしょうか?
(kikitori 上村さん)
手書きによる帳票を作成しないで済むといったメリットに加え、流通現場の方とのやり取りを電話ではなくLINEでできるようにしていることで、農作業中でもスムーズなやり取りができます。またこれに関連し、市況情報や販売情報のタイムリーな配信などにより、次の生産計画を立てる上での分析などにも役に立っております。
また出荷情報の送信やコミュニケーションといった機能に加え、資材の受発注をLINEから簡単にできる機能を提供しております。こちらについても電話や紙を使うよりも簡単に、速く手配することができます。
――農業者から見てもとてもメリットのあるシステムですね。JA湘南平塚営農経済センターではnimaruをどのように活用されているのですか?
(JA湘南平塚営農経済センター 加藤さん)
JA湘南平塚営農経済センターでは、JAの集出荷拠点の業務をクラウドで行えるnimaruJAの活用を今年から開始しました。現時点では組合員からはこれまで通り紙で出荷情報を受け取っており、その情報をnimaruJAに入力しています。これまでは経済センターの業務を全てエクセルで管理しており、そのエクセルでの情報も日々の出荷情報を毎回上書きしてその日限りの情報として活用しておりましたが、nimaruJAの利用を開始してから出荷情報を日々データとして蓄積できるようになりました。
出荷先に対しても、これまでは日々の出荷情報をFAXや電話で連絡していたのですが、業務の関係上、これらの連絡が遅くなり、出荷先でも販売が遅れてしまい有利販売に繋がらないということが発生していました。nimaruJAの活用により、荷物の出荷先を決めた時点でタイムリーに出荷内容を出荷先の事業者へボタン一つでデータ送信できるようになり、出荷先からも非常に評価が高いです。また、今後は蓄積した情報を分析し、農業者へもフィードバックし、生産計画の改善や有利販売につないでいくことも考えております。
――まさにデータ活用が始まったところですね。横浜丸中青果株式会社ではどのように活用されているのでしょうか?
(横浜丸中青果 岡山さん)
ここ湘南藤沢地方卸売市場では、湘南野菜というブランド野菜を取り扱っております。ブランド野菜を取り扱っていく上で、袋や段ボールなどの資材はブランドロゴが印刷されたものを使っていくのですが、そうした資材発注のミスをなくし効率化していく目的でnimaruの導入を決めました。またそれと同時に出荷情報のやり取りもnimaruを介して行うようになったのですが、その情報が来る時間が早くなり、販売先への営業において効率的に事前提案を行うことができるようになりました。
――すでに農業者の方にもnimaruを利用していただいているのですね。農業者の方に利用してもらうのに苦労したことはありましたか?
(横浜丸中青果 岡山さん)
実は最初はなかなか利用してもらえませんでした。それはnimaruが最初にLINEではなく独自のアプリを用意していたからなのです。それを農業者にも身近なLINEに変えたことで一気に普及が進んだと思います。
(kikitori 上村さん)
独自のアプリですと、農業者の方にそれをダウンロードし、IDやパスワードを管理していただいたり、使い方を覚えていただく必要が出てきてしまい、その支援が事業者様の負担となっておりました。LINEは実は多くの農業者が使っているツールで、LINE上でやり取りをできるようにしたことで農業者としては新しく操作を覚えることも少なく、ダウンロードをする必要もなくなったのが大きいと思います。
――nimaruを利用するようになり、経営管理においてデジタル技術を活用することでどのような影響が出てくると考えますか?
(横浜丸中青果 岡山さん)
一番大きいのは、経営や業務の状況が数字で把握できることだと考えます。こうしたデータを活用していくことで、自分たちの業務を客観的に見ることができ、分析を通して見えてきた課題や機会に対していち早く打ち手を決めていけることが大きいと思っております。そうした意味でも、様々な業務を可能な限りデジタル化していき、データをアーカイブしていくことが今後特に大切になってくると考えております。
――本日はお忙しい中ありがとうございました。
===
いかがでしたでしょうか。今回は、スマートフォンとPCを使って青果流通の効率化を推進しているkikitoriさんと、それを活用するJA湘南平塚営農経済センターさんと横浜丸中青果株式会社さんをご紹介いたしました。今後も、DXに取り組む農業や食関連業界の方を取材し、紹介していきます。
それでは!
(写真:JA湘南平塚営農経済センターでnimaruを使った業務の様子)
(写真下:株式会社kikitoriが提供するnimaruJAの概要)
農林水産省では、農業や食関連産業のデジタルトランスフォーメーション(DX)の具体的なイメージを持っていただけるよう、農業や食関連業界におけるDXの実践事例をご紹介しています。
第9回目の今回は、青果流通の現場で日々行われている集荷情報のやり取りや農業者の資材発注などの業務を、現行の紙やファックスなどからスマホやPCを用いて効率化を進めている「nimaru」と、JAの現場業務のDXを推進する「nimaruJA」をご紹介いたします。
nimaruを提供している株式会社kikitoriの上村聖季社長と、nimaruJAを利用しているJA湘南平塚営農経済センターの加藤達也係長、およびnimaruを利用している横浜丸中青果株式会社の岡山俊明部長にお話を伺いました。
――本日はよろしくお願いします。はじめに、nimaruは流通現場のどのような課題の解決に取り組まれているのか教えてください。
(kikitori 上村さん)
青果物は、気候などの影響により生産量が日々変わります。そういった状況の中で、毎日の出荷量を早く正確に把握し、有利販売につなげていくことが大切になってきます。しかしながら、現在の現場ではこうした出荷量のやりとりは紙やファックスで行われ、その情報を受け取った流通担当者がシステムに入力していくという流れで業務を行っており、結果として担当者の情報の入力間違い、出荷情報の伝達が遅いなどが課題となっております。nimaruでは、こうした課題に対し、農業者の方でも紙を使わずに簡単にスマホから出荷量を入力し、流通事業者の基幹システムに人の手を介すことなく出荷情報を登録することで、情報の正確さと速度の問題を解決できるシステムを提供しております。
また、JAが利用するnimaruJAとのデータ連携により、個人の生産情報だけでなく、JAからの出荷情報もFAXや電話などを使うことなく、タイムリーに卸売会社などの流通事業者へ連絡することが可能です。
――具体的には、どのような仕組みになっているのでしょうか。
(kikitori 上村さん)
農業者は、LINEを窓口に利用が可能なnimaruアプリを使って日々の出荷情報や一週間の出荷スケジュールを出荷先の事業者へ送ります。LINEを使っているので、操作も簡単でどなたでも簡単に送信できるようになっています。出荷予定のやり取りでは天候などの影響で出荷予定が変わった場合もLINEから簡単に修正情報を送ることができます。こうした情報はクラウド上のnimaruを介してタイムリーに流通事業者の基幹システムに登録されます。
流通事業者は、登録された出荷情報を集計し、販売情報として活用していきます。これまでの紙やFAXによる業務よりも正確な情報を早く把握できますので、有利販売に活用していくことができます。
さらに、実際の入荷などで使用する送り状や、販売原票なども、nimaruから任意のフォーマットで印刷することができるので、農業者および流通事業者での手書き作成が必要なくなります。
――情報の効率的な活用に加え、手書き伝票の廃止や業務の効率化によるコスト削減の効果も大きそうですね。nimaruが広く活用されていくためには一人でも多くの農業者の方に利用してもらう必要がありそうですが、農業者からみてnimaruを使うメリットにはどのようなものがありそうでしょうか?
(kikitori 上村さん)
手書きによる帳票を作成しないで済むといったメリットに加え、流通現場の方とのやり取りを電話ではなくLINEでできるようにしていることで、農作業中でもスムーズなやり取りができます。またこれに関連し、市況情報や販売情報のタイムリーな配信などにより、次の生産計画を立てる上での分析などにも役に立っております。
また出荷情報の送信やコミュニケーションといった機能に加え、資材の受発注をLINEから簡単にできる機能を提供しております。こちらについても電話や紙を使うよりも簡単に、速く手配することができます。
――農業者から見てもとてもメリットのあるシステムですね。JA湘南平塚営農経済センターではnimaruをどのように活用されているのですか?
(JA湘南平塚営農経済センター 加藤さん)
JA湘南平塚営農経済センターでは、JAの集出荷拠点の業務をクラウドで行えるnimaruJAの活用を今年から開始しました。現時点では組合員からはこれまで通り紙で出荷情報を受け取っており、その情報をnimaruJAに入力しています。これまでは経済センターの業務を全てエクセルで管理しており、そのエクセルでの情報も日々の出荷情報を毎回上書きしてその日限りの情報として活用しておりましたが、nimaruJAの利用を開始してから出荷情報を日々データとして蓄積できるようになりました。
出荷先に対しても、これまでは日々の出荷情報をFAXや電話で連絡していたのですが、業務の関係上、これらの連絡が遅くなり、出荷先でも販売が遅れてしまい有利販売に繋がらないということが発生していました。nimaruJAの活用により、荷物の出荷先を決めた時点でタイムリーに出荷内容を出荷先の事業者へボタン一つでデータ送信できるようになり、出荷先からも非常に評価が高いです。また、今後は蓄積した情報を分析し、農業者へもフィードバックし、生産計画の改善や有利販売につないでいくことも考えております。
――まさにデータ活用が始まったところですね。横浜丸中青果株式会社ではどのように活用されているのでしょうか?
(横浜丸中青果 岡山さん)
ここ湘南藤沢地方卸売市場では、湘南野菜というブランド野菜を取り扱っております。ブランド野菜を取り扱っていく上で、袋や段ボールなどの資材はブランドロゴが印刷されたものを使っていくのですが、そうした資材発注のミスをなくし効率化していく目的でnimaruの導入を決めました。またそれと同時に出荷情報のやり取りもnimaruを介して行うようになったのですが、その情報が来る時間が早くなり、販売先への営業において効率的に事前提案を行うことができるようになりました。
――すでに農業者の方にもnimaruを利用していただいているのですね。農業者の方に利用してもらうのに苦労したことはありましたか?
(横浜丸中青果 岡山さん)
実は最初はなかなか利用してもらえませんでした。それはnimaruが最初にLINEではなく独自のアプリを用意していたからなのです。それを農業者にも身近なLINEに変えたことで一気に普及が進んだと思います。
(kikitori 上村さん)
独自のアプリですと、農業者の方にそれをダウンロードし、IDやパスワードを管理していただいたり、使い方を覚えていただく必要が出てきてしまい、その支援が事業者様の負担となっておりました。LINEは実は多くの農業者が使っているツールで、LINE上でやり取りをできるようにしたことで農業者としては新しく操作を覚えることも少なく、ダウンロードをする必要もなくなったのが大きいと思います。
――nimaruを利用するようになり、経営管理においてデジタル技術を活用することでどのような影響が出てくると考えますか?
(横浜丸中青果 岡山さん)
一番大きいのは、経営や業務の状況が数字で把握できることだと考えます。こうしたデータを活用していくことで、自分たちの業務を客観的に見ることができ、分析を通して見えてきた課題や機会に対していち早く打ち手を決めていけることが大きいと思っております。そうした意味でも、様々な業務を可能な限りデジタル化していき、データをアーカイブしていくことが今後特に大切になってくると考えております。
――本日はお忙しい中ありがとうございました。
===
いかがでしたでしょうか。今回は、スマートフォンとPCを使って青果流通の効率化を推進しているkikitoriさんと、それを活用するJA湘南平塚営農経済センターさんと横浜丸中青果株式会社さんをご紹介いたしました。今後も、DXに取り組む農業や食関連業界の方を取材し、紹介していきます。
それでは!
(写真:JA湘南平塚営農経済センターでnimaruを使った業務の様子)
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情報元: 農林水産省
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