営農・栽培技術
【事例】37株疎植で飼料用米をつくってみた
37株疎植で飼料用米をつくってみました。
斎藤淳一さん
山形県酒田市木川
経営内容:水稲(主食用米)8.1ha、飼料用米1.6ha、大豆1.3ha
飼料用米は「米」ではなく転作作物。コストをかけない合理的な生産に徹する。
―― 飼料用米を作付けするようになった理由は何ですか?
斎藤 このあたりは地力が高いこともあって、大豆の作付けを何年も続けていると雑草が手に負えなくなってくるんです。そんなときJAから「飼料用米があるよ」という話がありました。今のような助成制度はありませんでしたが、「荒れたほ場を田んぼに戻せればいいや」という気持ちで、やってみることにしたんです。1年目は1ha、田んぼがきれいになって、これはいいなと思ったので、2年目からは1.5haに増やしました。
―― 飼料用米をつくるうえで大切なのはどのようなことですか?
斎藤 私は飼料用米を「米」とは考えていません。あくまでも転作作物です。だからこそ、コストをかけず生産の合理化に徹します。
―― 生産の合理化とは具体的にどのようなことですか?
斎藤 今は大豆と飼料用米を2年おきにブロックローテーションにしています。飼料用米として作付けしている「ふくひびき」は大豆あとにつくると完全無肥料でできるからです。2年目も籾重はやや軽くなりますが、無肥料で大丈夫です。刈り取りの直前まで深水管理にしておくと、土中の窒素を吸収しやすくなるんです。
37株植で田植機への積み込みがラクになったと、補助の家族も大喜び!
―― 収量はどれくらい穫れますか?
斎藤 大豆あと1年目のほ場は粗玄米で740kg/10a、2年目でも700kg/10aと同等に近い収量が得られました。いずれは主食用米も含めたローテーションにしていきたいと考えています。
―― 今年から飼料用米で37株植を導入したそうですね?
斎藤 昨年までは、主食用米も飼料用米も植付株数は50株/坪で、使用箱枚数は23~24枚/10a。育苗ハウス3棟で3,000枚つくっていました。3棟のうち2棟が老朽化しているのですが、できれば建て替えずにそのまま1棟で済ませたいんです。育苗の労力とコストを軽減するためにも、今年は飼料用米の1haで疎植の試験栽培をしました。
―― 導入効果はありましたか?
斎藤 使用箱枚数は10枚/10a、育苗は2,600枚で済みました。うちでは田植え作業の補助を女房と親父がやるので、できるだけ負担がかからないようにしてやりたいんです。苗にも軽量のヰセキライト培土を使っています。37株植になって8条植の田植機でも積み込みがラクになったと女房と親父も大喜びしていました。来年は「ひとめぼれ」や「はえぬき」でも37株植をやりたいですね。
(取材日/平成22年10月25日)