営農・栽培技術
中干しの期間を延長する際のポイント
J-クレジットの事業に認定されて注目を集める水稲の中干し期間延長。長期の中干しって大丈夫?収量や品質への影響が心配・・・そんな不安を解消します。適切なタイミングを守って、中干しの期間延長を成功させましょう!
中干し期間の延長について
稲作において重要な役割を果たす「中干し」。中干し期間を延長することで温室効果ガスであるメタンの生成量が削減できることから、2023年、J-クレジット制度の事業に「水稲中干し期間の延長」が制定されました。
一方で、長期の中干しはタイミングを誤ると収量や品質に影響を及ぼす可能性もあります。
中干しを延長する際には、早すぎず・遅すぎない ベストなタイミングで実施することが重要になります。
中干しのベストタイミングって?
分げつ具合と、幼穂形成期のタイミングが中干しの肝
中干しのタイミングを判断する上でポイントとなるのが「分げつ」具合と「幼穂形成期」のタイミングです。
まず、中干しを始める際は、分げつ具合をチェックします
中干しを始めると分げつの勢いが抑制されるため、開始前に目標穂数の7~8割程度まで茎数を確保しておくことが大切です。
また、終了の際は幼穂形成期のタイミングに注意します
この時期には穂を作るために水が必要になりますので、幼穂形成期の3日前までには水を入れ、中干しを終了させる必要があります。
幼穂形成期がいつ頃になるのか分からない・・
「最近は暑くなるのも早いな・・・今年の幼穂形成期はいつ頃だろう?」
そんな方におすすめしたいのが、ISEKIが運営する営農ソリューション・ポータルサイト「Amoni」の水稲生育予測サービス。その年の気象データを使用して、水稲の生育ステージを予測します。
このサービスを使えば、ほ場の場所・品種・移植日・苗姿を入力するだけで、そのほ場の幼穂形成期の到達予測日を簡単に知ることができます。
さらに、実施したい中干し日数を入力すると、予測された幼穂形成期に連動して中干しの参考期間が算出されるため、いつからいつまで中干しを行うかを決めるのに役立ちます。
Amoniの水稲生育予測で幼穂形成期を把握して、より的確なタイミングで中干しを行いましょう。
[ISEKIが検証] Amoniをフル活用!中干しの期間延長にチャレンジ
茨城県つくばみらい市にあるイセキの試験ほ場でも、J-クレジットの申請に向けて中干し期間を延長しました。
当社の水稲ほ場における過去2年間の平均中干し日数は12日間です。しかし、J-クレジットの要件を満たすためには、さらに7日間の延長が必要です。そのため、2024年の試験では中干し日数が「19日間」となります。
中々の長丁場で、稲は大丈夫かな?と心配なところ。しかも、例年より暑い日が続き、生育が早まっている様子も見られます。
そこで、Amoniの水稲生育予測と中干し期間の計算機能をフル活用!ベストな中干しタイミングを探ります。
試験ほ場のデータは以下の通りです。
- 品種 :コシヒカリ
- 苗姿 :稚苗
- 移植日:2024年5月9日
- 中干し:19日間
早速、この条件で調べてみました。
その結果、ベストなタイミングは「6月14日~7月2日」と算定されました!
そこで、この算定結果に基づいて実際に6月14日から中干しをスタートし、7月2日までの19日間の中干しを実施しました。気になる収量は例年とほぼ同等の「527kg/10a」。適切なタイミングで中干しを実施できたことで、期間を延長しても収量への影響は殆どありませんでした!
栽培期間中のほ場や作業の様子は、Amoniでレポートしています。そちらも、ぜひご覧ください!
あなたも中干し期間延長にトライ!
中干しをベストタイミングで実施することで、収量・品質に影響しない中干し延長が可能に。
Amoniの水稲生育予測を使って、中干し延長に取り組んでみませんか?
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