井関農機株式会社

営農・栽培技術

どのくらいコストを削減できるの? 密播疎植導入のメリット

水稲の低コスト栽培技術のひとつとして知られる「密播疎植栽培」。導入することでどのくらいコストの削減や省力化が可能になるのかまとめてみました。疎植や密播、密播疎植の導入を検討する際の参考にしてください。

導入するとどのくらい使用箱枚数が減らせるの?

移植時の10aあたりの使用箱枚数は、田植機の設定(植付株数・苗の横送り回数・縦かき取り量)によって決まります。

株間を広げて移植し、1株の穂数を多くとる「疎植」栽培。疎植を導入する場合は、植付株数を37~42株(株間30~26cm)に調整し、10aあたりの使用箱枚数を10枚程度にまで減らすことができます。

厚播きした苗を少量かき取りで移植する「密播」栽培。密播を導入する場合は、苗の横送り回数を24回→28回に、縦のかき取り量を11mm→10~8mmに調整し、10aあたりの使用箱枚数を10~12枚程度にまで減らすことができます。

上記2つの栽培技術を組み合わせたものが「密播疎植」栽培。密播疎植を導入する場合は、「疎植」と「密播」両方の設定調整を行い、10aあたりの使用箱枚数を7枚程度にまで減らすことができます。

移植時の田植機設定と使用箱枚数
10aあたりの使用箱枚数のちがい

育苗コストの削減量はどのくらい?

疎植や密播、密播疎植を導入すると10aあたりの使用箱枚数が減るため、種籾や育苗培土、農薬等の育苗資材コストを削減することができます。

例えば、箱枚数が10aあたり10枚減った場合の育苗コスト削減量は、購入苗(700円/枚と想定)の場合7,000円/10a自家育苗(資材費360円/枚と想定)の場合3,600円/10a程度になります。

また、この育苗コストの削減量は作付規模に従って大きくなり、100haでは360万円程度にまで達するため、特に大規模農家の方におすすめの栽培技術です。

箱枚数が10枚/10a減った場合のコスト削減量(※井関農機調べ)
作付面積箱枚数 育苗コスト
10a-10枚ー3,600円
1ha-100枚ー36,000円
10ha-1,000枚ー360,000円
50ha-5,000枚ー1,800,000円
100ha-10,000枚ー3,600,000円
作付面積ごとの育苗箱枚数・育苗コストの削減量(※井関農機調べ)

どのくらい省力化できるの?

疎植や密播、密播疎植を導入すると10aあたりの使用箱枚数が減るため、播種作業や育苗作業、田植え作業時の労働時間も削減することができます。

例えば、箱枚数が10aあたり10枚減った場合の労働時間削減量は、1.18時間/10aになり、労賃を時給1,400円と想定すると、労働費を1,650円/10a程度削減することができます。(※育苗方式やほ場条件によって変わります。)

また特に田植え作業時は、苗補給の回数が半分程度になるため田植え作業能率が向上し、苗継ぎ作業時の補助者の負担が大幅に軽減されます。

箱枚数が10枚/10a減った場合の労働時間削減量(※井関農機調べ)

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