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新規需要米特集
> 田んぼで作るなら管理が楽な飼料イネがいい!!
霞ヶ浦の南に位置する稲敷市は、平成17年、3町1村が合併して新設された自治体である。現在は稲敷市の一部となっている旧東町で20 haを経営する加納さんは、稲敷市農業委員会会長の要職を務めるなど、この地区の農家のリーダー的な存在である。今から7年前、JA稲敷の低コスト部会で麦・大豆のできない湿田での転作作物が検討され、飼料イネの栽培がスタート。翌年には集落の先陣を切って加納さんも飼料イネの栽培を1haで開始した。それまでの加納さんの転作は麦だったが、連作障害などによって品質が低下傾向にあったため、麦に代わる作目を模索しているところだった。「いずれにしても生産調整はクリアしなければならないという意識でやっていたので、飼料イネはあくまでもその一環です。種まきから移植まで、主食用米と同じ要領で同じ機械でできますから、初めての年でも取り組みやすかったですね」。
飼料イネとして栽培されるのは“クサホナミ”という多収性の品種だ。「食べた人に聞くと、不味くはないらしいです(笑)。稲の姿は主食用米とは見るからに違って、茎が太く、丈が長い」。稲敷市では管内で生産される飼料イネの均質化を図るため、栽培のマニュアル化が徹底されている。普及所の指導により、施肥量や除草剤散布の回数などがJA低コスト部会を通じて生産者に指導される。肥料や除草剤は飼料イネに登録されたものを使用しなければならない。また、基準収量は2.3〜2.5t/10aが目安だ。需要者側、つまり畜産業者からの要望は、ロールに土や雑草が混入しないこと。今年はJAから生産者に草取りを徹底するよう指導があった。こうした指導や栽培マニュアルによる均質化が、産地の信頼につながるのだ。
収穫した飼料イネのロールはJA稲敷カントリーエレベーターの敷地に運ばれラッピング。ここで一時保管され、需要者となる畜産業者(主に県北)に運ばれる。収穫とロールの運搬はすべてコントラクター委託だ。コントラクター1社の作業面積は30〜50 ha。飼料イネは収穫時期が集中しやすいため、1社あたりの作業面積には限界がある。今年は作付面積が前年より1.5倍に増えたため、業者も従来の2社から3社となった。このように稲敷市においては飼料イネの生産(生産者)から仲介・管理(JA)、収穫・運搬(コントラクター)まで完全分業制のシステムがしっかりと確立されている。今年、旧東町における飼料イネの作付けは前年の60 haから105 haに拡大した。
「刈り取りや乾燥・調製のコストもかかりませんし、今の米価と生産コストを考えると、悪くない条件です」と加納さんは言う。ちなみに麦は、価格が2〜2.5千円(1俵500円で収量4〜5俵/10a)に転作奨励金の固定払いが2.3万円。飼料イネの方が断然魅力的だ。「田んぼで作る麦では一等は期待できない。それなら飼料イネの方が有利だし、取り組みやすいですね」。飼料イネで二毛作をやる人も増えた。麦あとや野菜あとに飼料イネを植えると肥料コストの削減になるからだ。主食用米だとチッ素量が多いため倒伏が心配だが、クサホナミは倒れにくい品種だからその心配もない。加納さんが飼料イネを始めた当初は、「転作しないで稲を植えている」と誤解を受けたこともあった。しかし、旗振り役として集落の集会などで「飼料イネはいいよ」と言い続けてきた甲斐あって、今では旧東町における主要転作作目としてしっかりと根付いている。さらに昨年末の緊急対策事業の影響もあって、飼料イネに取り組む生産者は飛躍的に増えた。「田んぼを荒れさせないことを最優先で考えなければならない。その点、管理が楽な飼料イネは有力な選択肢の一つだと思っています」と語る加納さんは、来年も5haの作付けを予定している。
飼料イネは今年で3年目です。今年はヰセキさんからの依頼で、クサホナミを疎植で作付けしてみました。茎数を揃えて総量を多く取らなければならない飼料イネを疎植でやるのはどうか?と疑問視する声もありましたが、私は主食用でも以前から45株植/坪でやっていたので、それほど抵抗はありませんでした。実際、今年は肥料設計よりも施肥量が少なかったにもかかわらず、十分に分けつがとれました。収量も4.4ロール/10a。慣行とほぼ同等でした。なによりも疎植の大きなメリットはコストダウンです。播種量80〜90g(乾籾)で、苗箱は15枚/10a。当然、培土や種籾も少なくて済みます。転作といえども営利でやっているのだから、できるだけ手取りを多くしようと考えるのは当然です。コストダウンができて、収量が同等かそれ以上なのですから、デメリットは全く感じません。来年は、主食用米(コシヒカリ)でも疎植でやってみようと思っています。