
日本の水稲経営は、高齢化による担い手不足や米価の低下などにより、経営規模の拡大と低コスト化が求められています。
しかし、今後さらなる規模拡大を進めていくには、慣行の移植栽培体系における育苗・田植えなどの春作業が最大の阻害要因
となります。その理由を整理してみましょう。
(1)スケールメリットが期待できない。
育苗規模の大小にかかわらず面積当たりの作業時間はあまり変わらない(※)。
そのため規模拡大するときは人手が必要になる。
※農林水産省「水稲直播栽培の現状について(平成20年3月)」より
(2)育苗場所が確保できない。
作付面積の拡大に応じて育苗場所・設備を広げていく必要がある。
したがって、「人員・設備等」に応じて栽培面積の上限が決まり、面積を拡大するためには経営資源の追加が必要となるのです。
しかし、それではコストも同様に増えてしまいます。低コスト化を進めるためには、企業規模を大きくせずに作付面積だけ
増やさなければならないのです。
以上のような問題点の解決策として効果的なのが、直播栽培体系と移植栽培体系を組み合わせた経営です。
近年、直播栽培はその省力・低コスト化効果が見直され、作付面積は全国的に拡大を続けています。

生産コストを抑える栽培技術として、井関農機では従来より疎植栽培の有効性を提唱し続けていますが、
育苗作業を完全に省略できる直播栽培も同様に効果的な低コスト技術です。
そのメリットを以下にまとめてみました。
(1)育苗等の生産コストが削減できる。
自前で育苗する場合:育苗作業、育苗資材(培土・苗箱・水・薬剤・肥料・ハウス)、育苗場所が不要。
苗購入の場合:苗購入費が不要。
(2)育苗・田植え作業の省略により春作業が軽減される。
播種時の補助作業者数が少なくて済む(苗箱運搬、苗補給作業などが不要)。
また、移植栽培と直播栽培を組み合わせることによって、次のような経営上のメリットが期待できます。
(1)春作業を分散できる。
(2)秋作業を分散できる。
(3)機械・施設の稼働率が向上する。
直播栽培には以上のようなメリットがある一方で、
従来は鳥害や倒伏・収量等に関する留意点が指摘されていましたが、
現在は栽培技術や機械技術の向上により解決しつつあります。