トップ > 連載 【国産野菜の底力】 > ≪No.1≫プラスにならなければ意味がない!ニンジンとともに生きる二十九歳の決意

連載営農ルポルタージュ疎植 植え付け株数を従来より減らして育てる疎植栽培についてシリーズで紹介します。農業用施設 育苗、栽培、調製、集出荷まで農業用施設の導入事例をシリーズでご紹介します。地域に応じた野菜用の機械を提供する
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国産野菜の底力
プラスにならなくては意味がない!ニンジンとともに生きる二十九歳の決意!プラスになる可能性のあることなら何でもやってみたい。新設を計画している施設は、工場のような仕組みにしたい。ニンジン栽培で規模拡大を志向する若き経営者の思いに迫る
家族経営の柱を担うニンジン産地の後継者

鎌田登さんと家族の皆様  熊本市内から車で約四十分、菊陽町を通る国道の両側には、視界一面にニンジンのトンネルハウス群が広がり、南国の早春の陽光を浴びてキラキラと光り輝いている。熊本市の北東に位置する菊陽町の基幹産業は農業。阿蘇を水源とする一級河川・白川やその支流が、米や麦、野菜、たばこ、花き、畜産物など多様な農畜産物を育む。中でもニンジンは国の産地指定を受け、「菊陽人参」ブランドとして全国出荷されている。 菊陽町のニンジン農家に生まれ育った鎌田さんが就農したのは6年前。 「自分がやっただけお金になりますから。お金になったらの話ですけどね(笑)。昨年は200〜300円/sでしたが、その前の年は50〜60円/s。値段の上げ下げが激しいんです」。  父・道男さんと母・さだめさん、妻の結花さんと4人の家族経営。その柱を担うのが登さんだ。

市場価格に影響する選別は人任せにできない重要な作業

収穫作業菊陽人参は、12〜3月に収穫する秋冬ニンジンと、4〜6月に収穫する春ニンジンがある。取材で訪れた2月中旬に収穫しているのは秋冬ニンジン、トンネルハウスで生育中なのが春ニンジンだ。 鎌田さんが収穫したニンジンは、福岡の契約業者と地元市場に出荷。市場を介して学校給食用としても卸される。作業場では、両親と結花さん、そして数名のアルバイトが出荷に向けて洗浄・選別・箱詰め作業に慌ただしく動き回っている。出荷作業の中でも鎌田家の家族でなければできないのが選別作業だ。市場価格にも直接影響する極めてデリケートな作業だけに、人任せにはできない。鎌田家に嫁いでニンジンの選別をやるようになった結花さんは言う。「はじめは意味がわかりませんでした。とくにSサイズは長年の勘が頼りなので、近寄らないようにしています。Sと2Sの違いが微妙すぎるんです(笑)」。 作業場の処理量は、秋冬が4〜5t/日(3日に1回)、春が6t/日(毎日)。今はこれが限界だ。

増産を視野に新施設を計画、めざすは工場のような仕組み

 「ニンジンで経営を拡大していきたい。機械さえあればできるので、面積は15 haくらいまで増やしたいですね」と語る鎌田さんは、将来の増産に向けて今年中に施設を新築する計画だ。 新しい作業場の処理能力は現在の1.5倍。1日の処理量を当面は8tくらいまで増やしたいと鎌田さんは考えている。ポイントとなるのが新しく導入する選別機。従来は人の経験と感覚に頼っていた作業が、機械による「形状選別(長さと太さで選別)」となるため選別精度は格段に向上する。「今は家族しかできない作業を、アルバイトでもできるように変えたいんです。イメージとしては、作業者を選ばない工場のような仕組みですね」 さらに洗浄設備が大幅に拡張され、洗浄能力もアップする。「大きな投資ですから、オヤジには反対されました。でも、将来の経営を考えれば、今よりもプラスにならなければ意味がない。設備を新しくすることで、品質(綺麗さ)と選別精度が向上すれば、市場での評価が高くなるんです」。鎌田さんの言葉の端々から伝わってくるのは、パワーとやる気だ。 「20代?このあたりは結構多いですよ。自分だけじゃないです」。 国内有数のニンジン産地を牽引していく若い力のこれからが楽しみだ。


ニンジンの洗浄作業